32personas
人前と一人の自分

怒りをうまく出せない人の本音

怒りがないのではなく、遅れて届きます

怒りを出せない人にとって、怒りはたいてい時間差でやってきます。その場では表の自分が場面を守り、怒りはひとりになってから届きます。怒りが遅れてくる四つのタイプと、飲み込んだ怒りを関係の中で活かす五つの方法をまとめました。

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約束の時間に三十分遅れてきた友達が、席に着きながら「ちょっと道が混んでて」と言います。前もって一本の連絡もなかったのに、私の口からは「大丈夫、私も今来たところ」が出てきます。夜のあいだずっと笑いながら話して別れ、家に帰ってシャワーを浴びていると、そこでようやく怒りがこみ上げてきます。「遅れそうなら連絡くらいしてよ。」その言葉を言える場面は、もう終わっています。

怒りをうまく出せない人は、よく「怒らない人」と言われます。でも内側をのぞいてみると、怒りがないわけではありません。この記事では、怒りがなぜその場で出てこないのか、飲み込んだ怒りはどこへ行くのか、そして怒りを関係を壊さない形で伝える方法についてお話しします。

怒りがないのではなく、遅れて届きます

怒りを出せない人にとって、怒りはたいてい時間差でやってきます。その場では人前での自分が場面を仕切っています。雰囲気をなめらかに保ち、会話をつなぎ、笑うべきところで笑います。そしてひとりになった瞬間、幕が下りたあとになってようやく、怒りが届きます。怒りを受け取るのは、いつもひとりのときの自分です。

だから怒りを出せないというのは、正確には、怒りを感じるときと言えるときがずれているということです。怒りが届いたときにはもう相手はいなくて、相手がいるときには怒りがまだ来ていません。このずれが繰り返されると、外ではいつも笑っている人に見え、内側には言えなかった言葉がたまっていきます。寝る前にその会話をもう一度再生して、あのとき言うべきだった言葉を完璧に磨き上げたりもします。言葉は夜ごとに鋭くなっていくのに、肝心の相手は何も知りません。

怒りが遅れてやってくる四つのタイプ

協調性が高い人。 怒ることを、関係にひびを入れることのように感じます。その瞬間、「関係を守るほう」がほとんど自動的に勝ちます。自分の不快さより相手の表情が先に目に入るタイプなので、怒りはそのうしろに押しやられます。「これくらいで場の空気を壊したくない」が繰り返されると、不快さはいつも我慢できる大きさとしてしか扱われなくなります。小さいころから「いい子だね」とよく言われてきたなら、人にはやさしい私、一人だと疲れる私、いい子症候群かも?もあわせて読んでみてください。

情動性の振れ幅が広い人。 怒りが一度出てきたら大きすぎるのではと思って、ふたをぎゅっと閉めておきます。問題は、ふたが固すぎて小さな怒りまで一緒にせき止められてしまうことです。小さいうちに出ていればなんでもなかった言葉が、内側で大きくなっていきます。

情動性の振れ幅が狭い人。 怒りが大きくではなく、ぼんやりとやってきます。その場では本当に大丈夫だと思っていたのに、何日かたってから、なんとなく疲れていたり、その人からの連絡が面倒になっていたりするのに気づいて、はじめて「ああ、あのとき怒ってたんだ」とわかります。

組織性が高い人。 話す前に考えを整理したいタイプです。何が嫌だったのか、どう言えば正確なのかを選んでいるうちに、その瞬間が過ぎてしまいます。整理が終わったころには、切り出すタイミングをもう逃しています。だからこのタイプには「ちょっと考えてから、また話すね」という一文が役に立ちます。その場で結論を出さなくても、話す機会を残しておけるからです。

飲み込んだ怒りが送るサインを、自分で確かめてみる

この一か月を思い浮かべながら、当てはまる行を選んでみてください。

  • 終わった会話を家に帰ってから思い返して、言うべきことを書き直している。
  • たいしたことないことに、なぜか大きくイライラする。
  • 特定の人の名前が画面に表示されると、体が先にこわばる。
  • 「大丈夫」が、考えるより先に口から出てくる。
  • ある日突然、その関係をまるごと整理したくなる。

いくつも当てはまるなら、怒りが消えたのではなく、たまっているということです。飲み込んだ怒りは、たいてい三つの場所へ向かいます。自分へ向かうと「私が敏感すぎるのかな」という自責になり、関係のない人へ向かうと家族へのやつあたりになり、体へ向かうと理由のわからない疲れになります。とくに最後の行に注目してください。飲み込んだ怒りは静かにしていて、ある日いっぺんに距離へと変わります。けんかをしたこともないのに連絡を絶ちたくなるのは、小さく出ていく機会をすべて逃した怒りが、いちばん大きな形で出てきたものであることが多いのです。

怒りは攻撃ではなく、サインです

怒りを出せない人は、たいてい怒ることと相手を攻撃することを同じだと考えています。だから怒りを出そうと思った瞬間、声を荒らげたり関係が終わったりする場面が先に浮かびます。でも怒りは、もともとサインに近いものです。自分が大切にしている何かが踏まれたというサインです。約束した時間、自分がかけた手間、尊重されたいという気持ちのようなものです。

サインとして見れば、怒りは相手を罰するために使うものではなく、何が踏まれたのかを知らせるために使うものです。「あなたのせいで怒ってる」と「待っているあいだ連絡がなくて、嫌な気持ちだった」は、同じ怒りから出てきた言葉ですが、まったく違う言葉です。前者は相手を問い詰められる立場に立たせ、後者は相手に自分のことを知らせます。

怒りを関係の中で活かす五つの方法

  1. まず体のサインで気づきます。 あごに力が入ったり、肩が上がったり、早口になったりしたら、心の中で「私いま、ちょっと嫌なんだな」と名前をつけます。口に出さなくてもかまいません。気づくだけで、怒りが届くまでの時間が少しずつ早まっていきます。サインは人によって違います。怒りが遅れてやってきた日を一、二回思い出してみると、その日、体が先に送っていたサインが何だったのかが見つかります。
  2. 遅れた怒りも、出していいんです。 怒りに賞味期限はありません。「昨日のあの話、一日たってから言うんだけど、ちょっと引っかかってて。」こんなふうに始めれば大丈夫です。一日たってから切り出す言葉は、むしろ落ち着いて聞こえます。「終わったことなのに、なんで今さら」と返されたら、「終わったことなのはそうなんだけど、次はこうしてほしくて言ってるんだ」と目的をはっきり伝えればいいのです。
  3. 怒りをお願いに変えます。 怒りの中には、自分が望んでいることが入っています。「なんでいつも遅れるの」の代わりに、「遅れそうなときは、前もって一行だけ送ってね」と言ってみてください。責める言葉は防御を呼び、お願いは行動を呼びやすいのです。
  4. 小さいうちに小さく言います。 「それはちょっと嫌かも」くらいの大きさで十分です。小さな怒りなら、言う側も聞く側も軽く流せます。大きくなるまで待つと、そのときには本当に切り出しにくくなります。遅刻が繰り返されるなら、三回目ではなく一回目に軽く言うのです。
  5. まず書いてみて、送りはしません。 言いたいことを、メモ帳に最後まで書いてみてください。書いているうちに何が嫌だったのかが整理されて、その中から実際に伝える一文が見えてきます。考えを整理してから言葉が出てくるタイプに、とくによく合う方法です。書き終えたメモは消してもかまいません。書いているあいだに、怒りの半分はもう整理されています。

怒りより先に「うん」が飛び出してしまってつらいなら、断れない性格でその話を別に取り上げています。

こんなふうには読まないでください

  • 大きく怒らないと健康的ではない、という意味ではありません。声を荒らげようということではなく、嫌だったという事実を相手がわかるようにしよう、ということです。
  • 怒りを出せないのは、いい人だからでも、弱いからでもありません。怒りが届くまでの時間が、人と違うだけです。
  • 反対に、怒りが抑えきれないほど頻繁に爆発したり、飲み込んだ怒りが長い無気力に変わって日常がしんどかったりするなら、専門家に相談してみてください。
  • 相手が怖くて、嫌だというひと言さえ言えない関係なら、話す練習より自分の安全が先です。信頼できる人や専門機関に助けを求めてください。

おわりに

怒りをうまく出せない人の内側には、言えなかった言葉がたくさんあります。その言葉は消えることなく、遅れてでもどこかへ出ていきます。だから怒りをなくそうとがんばるより、少し早く、少し小さく出すほうを練習してみてください。遅れて届いた怒りも、一日たってから切り出せば十分に役に立ちます。最初の一、二回はぎこちなくても、嫌だと言っても関係は壊れないということを一度経験すれば、その次はずっと楽になります。

無料の性格テストは、人前での自分とひとりのときの自分を、5つの性格特性で別々に見せてくれます。協調性と情動性が二つの場面でそれぞれどのあたりにあるかを見れば、自分の怒りがどこでせき止められ、いつ届くのかが見えてきます。

この記事は自己理解を助けるためのもので、心理診断や治療の代わりにはなりません。

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