
第一印象と本当の性格が違う理由
すぐ見える性質と、あとから見える性質
第一印象は間違いではなく、自分をいちばん狭い角度から見たものです。初対面で見える性質と時間がたってから見える性質を分けてみて、第一印象の空白を小さくする五つの方法をまとめました。
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入社して三か月ほどたった日、飲み会で隣の席の同僚が笑いながら言います。「最初はすごく冷たい人だと思ってたんですよ。あまりしゃべらないし、表情もあまり変わらないから。でも実は一番おもしろい人だったんですね。」一緒に笑って流したものの、帰り道にその言葉が何度も頭に浮かびます。三か月のあいだ、私はあの人の目に冷たい人として映っていたんだ、と。
逆のことを言われる人もいます。「最初はいつも明るいから、悩みなんてひとつもない人だと思ってた。」こう言われる側も、複雑な気持ちになるのは同じです。この記事では、第一印象がなぜ本当の性格をよく外すのか、どんな性質がすぐ見えて、どんな性質があとから見えるのか、そして第一印象の空白を少し小さくする方法についてお話しします。
初対面は、自分のいちばん狭い断面です
初めて会う場面を思い浮かべてみてください。知らない場所、知らない人、短い時間。誰でもふだんより少し緊張しています。その緊張の中で出てくるのは人前での自分、その中でもいちばん慎重なバージョンです。気の置けない友達の前で出る冗談や、ひとりのときののんびりした感じは、まだ出番ではありません。
だから第一印象は、偽物の自分を見たわけではありません。本当の自分を、いちばん狭い角度から見たものです。問題は、見る側がその狭い断面を全体の絵のように読んでしまうところにあります。人は短い時間に見たかけらで残りを埋めることに慣れているからです。静かだから冷たいんだろう、よく笑うから悩みがないんだろう。外れるのはたいてい、この埋める段階です。
しかも、一度できた第一印象はなかなか変わりません。人は最初に貼ったラベルに合う場面のほうをよく覚えているからです。冷たい人だと思えば無表情な瞬間が目につき、おもしろい瞬間は「意外だな」で流されます。第一印象を受ける側も影響を受けます。「冷たそう」と何度か言われると、もっと慎重になり、その慎重さがまた第一印象を固めてしまいます。
すぐ見える性質と、あとから見える性質
五つの性質は、表に出てくる速さがそれぞれ違います。数分で見える性質もあれば、何週間もたってやっと見える性質もあります。
| 性質 | 初対面で見えるもの | 時間がたってから見えるもの |
|---|---|---|
| 社会性 | 口数、自分から話しかけるかどうか | 人の中で充電されるのか、集まりのあとに疲れるのか |
| 情動性 | 表情や話し方の温度 | 内側で気持ちがどれくらい大きく揺れるのか |
| 組織性 | 服装や話し方の整い具合 | 約束や締め切りへの向き合い方 |
| 協調性 | 相づちや笑顔 | 意見が分かれたとき、どこまで合わせてどこで踏ん張るのか |
| 探究性 | ほとんど見えません | 好きな話題が出たときに変わる目の輝き |
表を見ると、第一印象が何を頼りにしているかがわかります。初対面でちゃんと見えるのは、社会性と情動性の表面くらいです。残りの三つは、頼みごとをやりとりしたり、意見がぶつかったり、長く話したりしてはじめて表に出てきます。でも、初めて会う場ではそういうことはほとんど起きません。だから人は、すぐ見える性質から、あとから見える性質を推し量ります。口数が少ないのを見て、協調性まで低いと思い込むような具合です。
長い付き合いになると、逆のことが起きます。あとから見える性質のほうが、むしろその人を代表するようになるからです。古い友達を思い浮かべたとき、口数よりも、つらいときにそばにいてくれた場面が先に浮かぶように。
第一印象がよく外れる三つのパターン
静かで冷たく見える人。 社会性が低めなので初対面では口数が少ないけれど、協調性は高いというケースも多いです。この人のやさしさは言葉ではなく行動で、それも時間がたってから出てきます。何気なく言ったひと言を覚えておいて気にかけてくれるタイプなので、初日には見えようがありません。
明るくて悩みがなさそうに見える人。 人前では社会性が高く出るけれど、内側では情動性の振れ幅が広い人です。集まりでは場を盛り上げて、家に帰るとその日言ったことをひとつずつ振り返ります。表情はいつも明るいので、その揺れを知っている人はあまりいません。
きっちりしていて厳しそうに見える人。 話がまとまっていて持ち物に抜けがなければ、組織性が高いことはすぐにわかります。でも人は、そこに協調性も低いだろうという推測まで重ねてしまいます。実際には、自分のことには厳しくても他人には寛大な人もたくさんいます。
三つとも、ひとつの性質を見て、ほかの性質まで同じ方向に読んでしまったことで生まれた誤解です。
表の自分と裏の自分のあいだの距離
「知ってみると全然違うね」と、とくによく言われる人がいます。たいていは、人前での自分とひとりのときの自分のあいだの距離が遠い人です。初めて会った人は表の自分、それもいちばん緊張したバージョンを見て、親しくなった人はだんだん裏の自分に出会っていきます。二つの場面の差が大きいほど、第一印象とあとからの印象の差も大きくなります。
方向が逆の人もいます。人前では明るくて人当たりがいいのに、ひとりのときは静かに考え込む人は、親しくなった人から「思ったより真面目なんだね」と言われます。どちらにしても、差が出る性質はたいてい決まっています。その性質が何かがわかれば、「知ってみると違うね」がどこから来るのかも見えてきます。
だからこの言葉は、自分が偽っていたという意味ではありません。どちらの場面の自分も自分で、そのあいだの距離が遠かっただけです。人によって違う自分が出てくる理由がもっと気になるなら、人によって違う私が出てきますで詳しく取り上げています。
第一印象の空白を小さくする五つの方法
- あとから見える性質を、ひと言で先に伝えます。 「私、最初はちょっと静かなんですけど、仲良くなるとよくしゃべるんです。」相手が空白を推測で埋める前に、ヒントを渡しておくのです。自己紹介に一行足すだけで、誤解の向きが変わります。
- 短くてもいいので、二回目に会う機会をつくります。 初対面の緊張は、二回目で大きく和らぎます。「今度ランチでも一緒にどうですか」のように、気軽な場をひとつつくっておきましょう。長いディナーより短いランチのほうが、お互い疲れません。
- 好きな話題をひとつ出してみます。 探究性は、軽いあいさつの中ではほとんど見えません。「最近、何にはまってますか?」と聞いたり、自分が最近はまっていることを一行話したりしてみてください。好きな話をするとき、人の表情はがらっと変わります。
- 「冷たい人だと思ってた」は笑って受け止めます。 長く弁解する必要はありません。「たまに言われます。最初はちょっと緊張するほうなので。」これくらいで誤解が情報に変わり、会話も一歩近づきます。
- 他人への第一印象にはメモを貼っておきます。 自分も人を見るときに同じことをしています。誰かを初めて見て判断が固まったら、心の中で「まだ社会性しか見ていない」と付箋を貼っておいてください。判断を捨てるのではなく、二回目に会うときまで少し保留にしておくのです。
こんなふうには読まないでください
- 第一印象を変えなければいけない、という意味ではありません。静かな第一印象も、明るい第一印象も、それ自体で大丈夫です。すべての人にすぐ理解してもらう必要はありません。
- 第一印象が間違っている、という意味でもありません。第一印象は本当の自分のひとかけらです。狭いだけです。
- 上の三つのパターンは説明のための例です。静かな人がみんなやさしいわけでも、明るい人がみんな内側で揺れているわけでもありません。
- 新しい人に会うたびに緊張が大きすぎて約束を避けてしまうほどなら、ひとりで我慢するより、専門家に相談してみると助けになるかもしれません。
おわりに
第一印象は、写真でいえば小さく縮めたプレビューです。間違った写真ではないけれど、端が切れた写真です。すぐ見える性質とあとから見える性質が別にあると知っていれば、「知ってみると違うね」という言葉も、少し寂しくなく聞こえます。その言葉は、相手がプレビューの向こう側を見はじめたという意味でもあるのですから。初対面ではいつも静かなほうなら、静かな人の強みもあわせて読んでみてください。
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この記事は自己理解を助けるためのもので、心理診断や治療の代わりにはなりません。