
静かな人の強み
内向型がもつ三つの力
静かなのは考えがないからではなく、考えが届くまでの時間が違うからです。深く聴く力、観察する力、一人で深まっていく力という三つの力と、口数を増やさずにその力を見えるようにする方法をまとめました。
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会議が終わりに近づいたころです。1時間のあいだ、何人もの人が代わるがわる意見を出し、私はほとんど聴いているだけでした。頭の中には、さっきから引っかかっていることが一つありました。みんなスケジュールの話ばかりしているのに、肝心のその仕事を誰が担当するのかは、誰も決めていないということ。言おうかと思ったもののタイミングを逃し、会議はそのまま終わりました。部屋を出るとき、隣の席の同僚が笑って言います。「今日も静かでしたね」。
その言葉が少し寂しいのは、静かだった1時間、私が何もしていなかったわけではないからです。聴いて、見て、整理していました。ただ、それが外に出てこなかっただけです。この記事では、静かな人の三つの力がどこから来ているのか、そして口数を無理に増やさなくても、その力が見えるようになる方法についてお話しします。
静かさは、考えが届くまでの時間の違いです
考えを整える場所は、人によって違います。話しながら考える人は、浮かんだことをとりあえず声に出してみて、話しているあいだに整えていきます。考えてから話す人は、内側で先に整えて、ある程度形になったものだけを取り出します。
大勢が集まる場は、たいてい話しながら考える人に有利です。会話が速く流れるので、内側で整えているあいだに、話題がもう次へ移っているからです。そのため、静かな人の考えは遅れて届くか、最後まで届かないままになります。静かさは、中身がないからではなく、考えが届くまでの時間が違うから生まれることが多いのです。
おもしろいのは、場が変われば、有利な側も変わるということです。チャットや共有ドキュメントのように文字で意見を集める場では、静かな人の考えが時間どおりに届きます。整える時間が与えられるからです。会議ではほとんど話さなかった人が、ドキュメントにはいちばん丁寧な意見を残している。そんな姿を一度は見たことがあるのではないでしょうか。静かな人に足りないのは考えではなく、考えが届くまでの時間だということです。
静かな人の三つの力
深く聴く力。 自分の番に言うことを準備するのに忙しくないので、相手の話を最後まで聴きます。友だちがさんざん悩みを打ち明けたあと「あなたに話すと整理される」と言ってくれたなら、アドバイスが上手だったからというより、途中でさえぎらずに聴いてくれたからである可能性が高いのです。
観察する力。 話していないあいだ、注意は外に向いています。誰の話が途中でさえぎられたか、誰の表情がこわばったか、何がまだ決まっていないかが見えてきます。さきほどの会議で、誰も担当者を決めていないことに気づいたのも、この力です。
一人で深まっていく力。 静かな人は、一人の時間に考えを最後まで突きつめていきます。会議が終わったあと、シャワーを浴びているとき、寝る前に、もっといい答えが浮かぶ人なら、この力を持っています。誰かがそばで刺激を与えなくても、自分で深まっていけるのです。
三つの力には共通点があります。どれも内側で起きているということです。だから、あえて取り出してあげないと、周りの目には「静かだった」としか残りません。
自分の静かさにどんな力が入っているのか、確かめてみてください。
- 友だちは、悩みができるとまず自分に相談してくるほうだ。(聴く力)
- 相手が話しているあいだ、自分が言うことを準備するより、最後まで聴くほうだ。(聴く力)
- 集まりで、誰が居心地悪そうにしているかに周りより先に気づく。(観察する力)
- 会議で、まだ決まっていないことが何なのかがよく目に入る。(観察する力)
- 会話が終わったあとに、もっといい答えが浮かぶことが多い。(深まっていく力)
- 一人の時間が長くても、退屈するより考えが整理されていく。(深まっていく力)
二つの行がどちらも当てはまる力があれば、それが、自分がいちばん最初に取り出しやすい力です。次の方法の中でも、その力に合うものから始めてみてください。
同じ会議、二人がしていること
| 会議の場面 | 話しながら考える肌理 | 考えてから話す肌理 |
|---|---|---|
| 議題がはじめて出たとき | 浮かんだ考えをすぐに口にしながら整えます | 聴きながら、頭の中で先に整理します |
| 意見が分かれたとき | 根拠を挙げて、積極的に説得します | 両方が見落としていることを探します |
| 会議が終わるとき | 言いたいことを全部言って、すっきりしています | 整理された考えが、今になって浮かびます |
| 次の日 | もう別の仕事に移っています | 昨日浮かんだ考えが、もっとしっかり固まっています |
どちらもチームに必要です。問題は、どちらかが間違っているから起きるのではなく、会議のルールが片方のスピードにだけ合わせてあるときに起きます。
外では明るいのに、一人だと静かなら
静かな人が、いつも静かなわけではありません。会社では場を盛り上げる人なのに、玄関のドアを閉めた瞬間、一言も話したくなくなる人もたくさんいます。無理に明るくふるまっているのではなく、人前の私は社会性が高い肌理で動き、ひとりのときの私は静かな肌理に戻っているのです。こうした違いがなぜ偽りではないのかは、人によって違う私が出てきますでさらにくわしく取り上げています。
こういう人は、三つの力が主にひとりのときの私にあります。外では場の空気に気を配るのに忙しくて、観察したことを口にするすきがなく、家に帰ってからようやく「さっきのあれ、ちょっとおかしかったな」と整理されます。だから、一人のときに浮かんだ考えを、次の日に表の自分へ手渡す練習がとくに役立ちます。
口数を増やさずに、力を見えるようにする方法
- 会議の前に、一行だけ準備しておきましょう。 議題に前もって目を通し、「私が気になっているのは一つです」で始まる文を書いていきます。前もって整えておいた一行は、速い会話のスピードに押し流されません。
- 遅れて届いた考えは、遅れて送りましょう。 会議が終わってから整理された考えは、そのまま送ってかまいません。「さきほどの会議の内容を整理してみたら、担当者がまだ決まっていないようです」。会議のあとに送る短いメッセージ一つが、会議中の十の言葉よりはっきり残ることもあります。
- 聴いたことを要約して返しましょう。 深く聴く力は、要約するときに表れます。「つまり、今いちばん急ぐのはスケジュールより人手だということですよね?」。この一文で最後まで聴いていたことが伝わり、会話の方向も定まります。
- 観察したことを、判断を加えずに口にしましょう。 「予算の話が2回出ましたが、まだ結論が出ていません」。意見は反論を呼びますが、観察はありのままなので、ずっと口にしやすいのです。静かな人にとって、いちばん簡単な最初の一言です。
- 「どうしてそんなに静かなの?」に答える一文を持っておきましょう。 「今、聴いているところです。まとまったら話しますね」。言い訳をする必要もなく、静かさが無関心ではないことを、さらりと伝えられます。
こんなふうに読まないでください
- 静かな人のほうが、口数の多い人より深いという意味ではありません。話しながら考える人も、十分に深く考えています。その過程が外に出ているだけです。
- 静かさがひとりでに強みになる、という意味でもありません。取り出さなかった考えは、誰にも届きません。だから、取り出すための通り道が必要なのです。
- 話したいのに緊張で口が開かないのなら、それは考えが届くまでの時間とは別の話です。そんなときは人前でとくに緊張しますを先に読んでみてください。
- 内向と外向で人を分けようとしているわけでもありません。同じ人でも、場によって話しながら考えることもあれば、考えてから話すこともあります。
おわりに
静かさは直すべきものではなく、まだ通り道を見つけていない力であることが多いのです。声を大きくする代わりに、内側で起きたことを一行ずつ外に出してみてください。その一行が積み重なれば、「静かな人」は「話しはじめると耳を傾けたくなる人」になります。
無料の性格テストは、人前の私とひとりのときの私を、5つの性格特性で別々にお見せします。社会性が二つの状況でどう違うかを見れば、自分の静かさがどちらの状況の特性なのか、そして三つの力をどこで取り出しやすいのかがわかります。
この記事は自己理解を助けるためのもので、心理診断や治療の代わりにはなりません。