
振れ幅の広い心の質感
私はいつ、いちばん大きく揺れるのか
一日に何度も心が上下するなら、起伏をなくそうとがんばるより、いつどこでいちばん大きく揺れるのかを先に知ってみてください。振れ幅の広い性質が、自分の心の地図を描く方法をまとめました。
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金曜日の午後、友だちから届いた「今週末、海を見に行かない?」の一行で、心がふわっと舞い上がります。宿を探して、着ていく服を選んで、もう波の音が聞こえてくるような気がします。ところが夕方に「ごめん、用事ができたからまた今度にしよう」と返事が来ると、さっきまでの高揚が一瞬で消えてしまいます。寂しさを通り越して、週末ぜんぶが灰色になったように感じます。友だちにとっては軽く延期しただけの約束なのに、私は半日のあいだに頂上と底の両方を行き来してきたのです。
こんな日が積み重なると、「私、どうしてこんなに起伏が激しいんだろう」と思えてきます。この記事は起伏をなくす方法ではなく、自分の心がいつどこでいちばん大きく揺れるのか、その地図を描く方法についてのお話です。振れ幅はなかなか小さくなりませんが、地図なら誰にでも描けるからです。
振れ幅は上にも広いのです
感情の振れ幅が広い性質というと、たいていは沈みやすい姿ばかりを思い浮かべます。でも振れ幅は、上にも下にも同じように広いのです。いい知らせには人より大きくときめき、好きな歌一曲で一日が明るくなり、ちょっとしたほめ言葉を何日も大事に抱えています。深く沈む人は、高く上がる人でもあります。
だから起伏を直すべきものとして見ると、行き詰まってしまいます。下のほうだけを切り取ることはできないからです。底を浅くしようと感情を押さえつけると、頂上も一緒に低くなって、一日が味気なくなります。振れ幅の広い性質に必要なのは幅を狭める技術よりも、波がいつ来るのかを前もって知っておく感覚です。
上の波を知っておくべき理由がもうひとつあります。浮かれた日にした約束や決断は、沈んだ日の重荷になりやすいのです。気分のいい金曜日に週末の予定を三つ入れて、日曜日の夜、疲れた体で「どうしてこんな予定を入れたんだろう」と沈んでしまう、というように。底だけを切り離して見ると理由のない起伏に見えますが、頂上とつなげて見ればひとつの流れなのです。
大きく揺れる場所は人によって違います
振れ幅の広い人でも、どこでも同じように揺れるわけではありません。とりわけ大きく動く場所が別にあります。
- 人間関係で大きく動く人。 返信の速さ、語尾の温度、約束のキャンセルといった合図にいちばん大きく反応します。協調性が高い性質まで重なると、相手の気分まで自分の分として引き受けてしまい、幅がさらに大きくなります。
- 成果を前にして大きく動く人。 ほめ言葉ひとつで舞い上がりそうになったかと思えば、小さな指摘ひとつで一日が崩れてしまいます。結果で評価される場面で波が高くなります。
- ひとりの夜に大きく動く人。 昼間はなんともないのに、明かりを消して横になると、過ぎたことが一度に押し寄せてきます。
自分は三つのうちどれに近いか、あるいは二つ以上が重なっているか、思い浮かべてみてください。地図の最初の一行は、ここから始まります。
この上に、外の私と内の私の違いがもう一枚重なります。人前では感情をうまく扱える人でも、ひとりになると大きく揺れることがあります。逆の人もいます。ひとりのときは穏やかなのに、人の輪に入ったとたんテンションがぐっと上がり、別れたあとはそのぶんがくんと落ちる人です。外では淡々としている私とひとりで揺れる私、外で浮き立つ私とひとりでは穏やかな私。どちらであっても、両方とも本当の私です。波が立つ時間と場所が違うだけです。
先に体が傾いていることが多いのです
地図を描くとき、よく抜け落ちる欄があります。体の状態です。よく眠れなかった日、食事を抜いた午後、生理前、コーヒーを立て続けに飲んだ日には、同じ言葉でも大きく響きます。心の波のように見えて、実は足場のほうが先に傾いていたのです。
一日単位だけでなく、週単位でも傾きます。締め切りが重なった週、旅行から戻ったばかりの週、日が短くなる晩秋のように生活のリズムが乱れた時期には、同じ出来事でも底がより深くなります。
これを知っていると、受け止め方が変わります。「友だちのせいで本当に寂しい」が「今日は寝不足だから、寂しさが大きく感じられるんだな」に変わるのです。感情を無視しようというのではなく、感情の大きさを測るときに体の状態も一緒に入れてみよう、ということです。
自分の振れ幅の地図を描いてみましょう
一週間だけ書いてみると、パターンが見えてきます。大きく揺れた瞬間にだけ、一行ずつ残せば大丈夫です。
| いつ | どこで、何があったか | 体の状態 | 高さ(1〜5) | 戻るまで |
|---|---|---|---|---|
| 金曜日の夕方 | 友だちが約束を延期した | 残業のあと、夕食抜き | 下に4 | 翌日の昼 |
| 月曜日の午前 | 会議でほめられた | ぐっすり眠れた | 上に4 | 午後いっぱい |
| 水曜日の夜 | ひとりで部屋にいた | 疲れ、スマホを長く見た | 下に3 | 眠るまで |
一週間後に表を見返すときは、くり返し出てくる言葉を探してみてください。同じ曜日や時間帯に集まっているなら、スケジュールの問題である可能性が高いです。体の状態の欄に「抜き」「寝不足」のような言葉が何度も出てくるなら、心より先に体をいたわる番です。特定の人や場所が何度も出てくるなら、そこがあなたにとって、とりわけ大きな波を生む場所です。
そして、高さよりも戻るまでの時間に注目してみてください。大きく揺れてもひと晩で戻る人と、何日もとどまる人とでは、準備しておくことが違います。高さはなかなか変わりませんが、戻るまでの時間は練習で短くなります。
地図を手にしてできること
- よく揺れる場所に入る前に、短く準備しておきます。 フィードバックの場で大きく沈みがちなら、会議の前に「指摘は成果物についての言葉であって、私についての言葉ではない」と一度つぶやいてから入ります。返信で大きく揺れがちなら、大事なメッセージを送ったあと、スマホをしばらく別の部屋に置いておきます。
- 上がるときにも安全ラインを引いておきます。 浮かれた日は、予定をたくさん入れたり、大きな買い物をしたり、長いメッセージを送ったりしがちです。「楽しい日に入れた予定は、翌朝もう一度見てから確定する」のように、上のほうにもルールをひとつ置いておきます。浮き立つ気分を抑えようというのではなく、浮かれた状態で下した決断だけ、ひと呼吸遅らせようということです。
- まず体の欄を確認します。 急に沈んだら、「どうしてこうなるの」と掘り下げる前に、水を一杯、ごはんを一食、短い昼寝を先にとります。体を満たしても同じ大きさのままなら、そのときに心をのぞいても遅くはありません。
- 戻る道を前もって書いておきます。 前回、底から自分を引き上げてくれたものが何だったかを書いておいてください。シャワー、近所をひと回り、気楽な友だちとの電話、好きな動画。波のまっただ中では、このリストは思い浮かびません。前もって書いておいたリストが、代わりに覚えていてくれます。
- 高さの代わりに、戻るまでの時間を目標にします。 揺れを小さくしようとがんばるより、底にとどまる時間を一日から半日に縮めることを目標にしてみましょう。前回より早く戻れたなら、それが前進です。次の底では「この前は一日で戻れたよね」という記憶が支えになってくれます。
こんなふうには読まないでください
振れ幅が広いというのは性格のひとつの性質を説明する言葉であって、不安定な人というレッテルではありません。地図を描く目的も、自分を見張ることではなく理解することです。毎日点数をつけて自分を採点しているなら、少し手放しても大丈夫です。
そして、これははっきり言っておきます。沈んだ状態が何週間も続いたり、睡眠や食事が乱れたり、仕事や約束を守るのが難しいほど一日がつらかったりするなら、性格の性質だけで説明できることではありません。そんなときは、お医者さんやカウンセラーに話してみてください。それもまた、自分の心の地図を一緒に描いてくれる人を見つけることなのです。
起伏そのものがおかしいのかどうかが先に気になるなら感情の起伏が激しい私、おかしいのかなを、小さな刺激にも長く心がとらわれるほうなら私、敏感すぎるのかな?をあわせて読んでみてください。
波を知っている人は、揺れにくくなります
振れ幅の広い心は直す対象ではなく、知っていく対象です。いつ、どこで、どれくらいの高さで来るのかを知っている人は、同じ波を前にしても驚きが小さくなります。無料の性格テストは、人前の私とひとりのときの私を分けて見せてくれます。二つの場所で感情の振れ幅がどう違うのかを見れば、あなたの地図の空欄が、もう少し埋まるはずです。
