
仕事のときの私は、なぜ普段の私と違うんだろう
会社では落ち着いていて隙がないのに、家に帰ると別人になる私。仕事場の私とひとりのときの私を重ねてみると、長く使える強みと、高くつく強みが見分けられます。
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会議室での私は、なかなかいい人です。ばらばらな意見をまとめ、スケジュールが狂っても落ち着いて代わりの案を出します。同僚からは、仕事を任せると安心できる人だと言われます。ところが退勤して玄関のドアを閉めた瞬間、別人になります。友だちのメッセージに返信する気力もなく、夕ごはんのメニュー一つ決めるのも面倒で、週末の約束はできることなら延期したくなります。ときどきわからなくなります。会社の私と家の私、どちらが本当の私なのでしょう。
どちらも本当の私です。仕事場は、責任と協働と成果をはっきりと求められる場所なので、外の私、つまり表の自分がいちばんくっきりと点灯するところなのです。この記事では、仕事のときに点灯する面を肌理ごとに見ていき、その中のどの強みが長く使える強みで、どの強みが高くつく強みなのかを分けてみます。
仕事場は、表の自分をいちばん大きく呼び出す場所です
人は誰でも、場所に合わせて違う肌理を取り出して使っています。仕事場は、ほかのどこよりも求められることがはっきりしています。締め切りがあり、任された役割があり、自分を見ている同僚がいます。こういう場所では、ふだんあまり使わない面まで呼び出されます。それは偽りではなく、適応です。その場所が必要とする能力を、実際に取り出して使っているのですから。
だから、仕事のときの私とひとりのときの私は、いくつかの肌理でかなり大きく離れます。どの肌理が離れるかは、人によって違います。
| 肌理 | 仕事場の私 | 退勤後の私 |
|---|---|---|
| 社会性 | 会議を引っ張り、場を盛り上げます | メッセージの返信も後回しにしたくなります |
| 組織性 | 締め切りとチェックリストをきっちり守ります | 洗い物がたまっていても平気です |
| 協調性 | 部署どうしの意見をやわらかくすり合わせます | 家族のひと言に、なぜかとげとげしくなります |
| 感情の振れ幅 | トラブルが起きても落ち着いて見えます | 家に帰ってから、その日のことが一気に押し寄せます |
この中に「まさに私のことだ」と思う行があれば、その肌理が、仕事場でいちばん大きく引き伸ばされている肌理です。
引き伸ばされた肌理は、退勤とともにもとの位置に戻ろうとします。一日中こらえていた感情、一日中合わせていた気づかいが、家で一気にほどけるのです。家族や身近な人にだけとげとげしくなってしまうのは、その人が大切でないからではなく、残りの力がほとんどないときに会う人だからです。これがわかると、夜の自分の姿をあまり嫌わずにすむようになります。
反対の方向もあります。家では静かなのに、仕事場ではかえって生き生きする人です。人とぶつかり合いながら力をもらう肌理なのに一人暮らしの家が静かすぎたり、新しいものが好きなのに家事はいつも同じだったりすると、こういう姿が出てきます。こういう人にとって、仕事場はエネルギーを使う場所ではなく、満たす場所です。方向がどちらでも、大事なことは同じです。二つの席の差がどこで開くのかを知ってはじめて、自分の力がどこで漏れ、どこで満ちるのかが見えてきます。
長く使える強みと、高くつく強み
この記事でいちばんお伝えしたいところです。仕事で表れる強みは、二種類に分けて考えることができます。
二つの席のどちらでも出てくる強み。 仕事のときも几帳面で、家でも引き出しの整理を楽しむ人がいます。こういう強みは、もとの肌理から自然に流れ出ているものなので、長く使ってもあまり疲れません。使ったあと、むしろ気分がよくなることもあります。
仕事場でだけ出てくる強み。 会議では話がうまいのに、退勤すると口を閉ざしたくなる人がいます。この強みも、確かに本物の能力です。ただ、役割が呼び出した強みなので、使うたびに大きなエネルギーがかかります。高くつく強み、というわけです。
同じ几帳面さでも、ある人にとっては長く使える強みで、ある人にとっては高くつく強みです。だから目安は、強みの名前ではなく、使ったあとの自分の状態です。やり終えてすっきりしているなら長く使えるほう、やり終えたあとしばらく休まないといけないなら高くつくほうです。
困るのは、高くつく強みのほうが、かえって目立ちやすいという点です。ふだん静かな人がプレゼンが上手だと、周りが先に気づきますから。褒められるほどその役割が回ってくる回数が増え、仕事はうまくいっているのに、帰り道はだんだん重くなっていきます。仕事はできるのにいつも疲れているなら、自分の仕事の重心が、高くつく強みのほうに偏っていないか見直すタイミングです。
自分で確かめてみる
次の文のうち、覚えのあるものが多いほど、今の仕事では高くつく強みの割合が大きいほうです。
- 同僚に褒められる自分の姿が、当の自分にとってはいちばんきつい部分だ。
- 退勤後の1、2時間は、誰とも話したくない。
- 週末のうち一日は、何もせずに過ごさないと次の週を乗り切れない。
- 休暇中に、働いている自分の姿を思い浮かべると、少し他人のように感じる。
- 会社で褒められるその作業を家でもやってみてと言われても、手が伸びない。
自分の強みを、自分に合うように使う五つの方法
- 強みのリストを二つの欄に分けましょう。 紙に、仕事で褒められる点を五つ書き出し、その中で家でも自然にやっているものに印をつけてみてください。印がついたものが長く使える強み、印がないものが高くつく強みです。このリスト一枚で、自分がどこで力をもらい、どこで力を使っているのかが見えてきます。迷ったら、親しい友だちに「私って家でもこんな感じ?」と聞いてみるのも一つの方法です。
- 長く使える強みのほうへ、仕事を少しずつ寄せましょう。 仕事を分けるとき、長く使える強みが活きる仕事に先に手を挙げます。資料の整理がもともと楽しい人なら、「今期の資料整理は私が担当します」と先に言う、といった具合です。同じ量の仕事でも、すり減り方が小さくなります。
- 高くつく強みのあとには、回復の枠をつけましょう。 長い会議やプレゼンが終わってすぐ次の会議を入れず、15分でも一人でいられる時間をカレンダーに入れておいてください。大きなプレゼンがある週なら、その翌日の午前中は一人で集中する作業をまとめておくのもいいでしょう。高くつく強みは捨てるものではなく、使った分だけ満たす時間を確保しておくべき強みです。
- 働き方について、一つだけお願いしてみましょう。 一人で先に考えてからのほうが言葉が出てくる人なら、「会議の議題を前日にいただけますか」と聞いてみてください。人とやりとりしながら考えがほどけていく人なら、長いメールの代わりに短い対面の打ち合わせを提案してみることもできます。自分の肌理に合った小さな条件一つが、同じ強みをずっと安く使えるようにしてくれます。
- 帰り道に、役割を下ろす合図をつくりましょう。 会社の建物を出たら好きな曲を一曲聴く、家に帰ったらまず服を着替えるなど、外の私から内の私へ切り替わる合図を決めておいてください。切り替えがはっきりしているほど、仕事場の緊張が家までついてこなくなります。
こんなふうに読まないでください
- 仕事のときの私が仮面だという意味ではありません。高くつく強みも、自分が実際に持っている能力です。
- 高くつく強みを捨てるべきだという意味でもありません。必要なときに取り出して使い、使った分だけ回復すればいいのです。
- 表の一行が自分に当てはまるからといって、その肌理で自分を決めつける必要はありません。同じ人でも、時期や役割によって離れる肌理は変わります。
- 退勤後の無気力が何週間も続き、休んでも回復しないなら、強みの問題ではなく燃え尽きかもしれません。最近なにもかも面倒で疲れていますを先に読んでみて、長く続くようなら専門家に相談してみてください。
まとめると
仕事のときの私とふだんの私が違うのは、どちらかが偽物だからではなく、仕事場が表の自分をいちばん大きく呼び出す場所だからです。その差を重ねてみると、二つの席のどちらでも出てくる長く使える強みと、仕事でだけ出てくる高くつく強みが見分けられます。長く使える強みのほうへ仕事を寄せ、高くついた日には回復を大切にしてみてください。場所ごとに違う私が出てくる理由がもっと気になるなら、人によって違う私が出てきますもあわせて読んでみてください。
無料の性格テストは、人前の私とひとりのときの私を、5つの性格特性で別々にお見せします。二つの状況でスコアが大きく離れている性格特性があれば、それこそが、仕事で最もエネルギーを使っている可能性が高い性格特性です。
この記事は自己理解を助けるためのもので、心理診断や治療の代わりにはなりません。
